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COVERED CALL LAB / BASIC

カバードコールとは?

上昇益の一部をあきらめる代わりに、オプション料を受け取る戦略

このページは投資判断ではなく、仕組みを理解するための学習ページです。実際の投資では、価格変動・為替・税金・分配方針などもあわせて確認してください。

基本の考え方

カバードコールとは、株やETFを持ちながら、その株やETFを「決めた価格で買える権利」を誰かに売り、代わりにオプション料を受け取る戦略です。保有している資産でカバーしているので、カバードコールと呼ばれます。

一言でいうと、「値上がり益の一部を、現金収入に変える戦略」です。

100円のETFで考えてみる

ここでは話をシンプルにするため、ETFを100円で持っているとします。そして「110円で買える権利」を売り、先に3円を受け取る例で見ていきます。

いまのETF価格 100円
権利行使価格 110円
オプション料 3円

取引の流れを3ステップで見る

やっていることは、難しく見えてもこの3ステップです。ETFを持ったまま、上の価格で買える権利を売り、その対価を先に受け取ります。

  1. 1 ETFを持つ

    値動きの土台になるETFを保有します。今回の例では100円です。

  2. 2 110円で買える権利を売る

    ETFが大きく上がったとき、110円より上の利益は取りにくくなります。

  3. 3 オプション料3円を受け取る

    この3円が、横ばい相場や小さな下落のクッションになります。

3つのシナリオ

満期のときにETF価格がどうなったかで、結果は変わります。普通に持っているだけの場合と、カバードコールの場合を並べて見ると特徴がつかみやすくなります。

120円に上がった

大きく上がると、上昇益は頭打ち

  • 普通保有なら20円利益
  • カバードコールなら10円の値上がり益
  • そこにオプション料3円を足す

合計:13円利益

100円のまま

横ばいでも、受け取った分が残る

  • 値上がり益は0円
  • ETF価格は変わらない
  • オプション料3円が利益になる

合計:3円利益

90円に下がった

下落リスクは残るが、少し和らぐ

  • ETFの値下がりは-10円
  • オプション料3円がクッション
  • 下落そのものは消えない

合計:-7円

損益イメージ図

横軸は満期時のETF価格、縦軸は利益です。100円でETFを持ち、110円のコールを売って3円を受け取ると、損益分岐点は97円、利益上限は13円になります。

90円に下がる -10円 + 3円 = -7円
100円のまま 0円 + 3円 = +3円
120円に上がる 10円 + 3円 = +13円

実際のETFや投信では、手数料、税金、為替、分配、オプションの条件などで結果は変わります。この図は仕組みをつかむための単純化した例です。

特徴まとめ

大きく上昇 上昇益を取り逃がしやすい。今回の例では、110円を超えた分は利益にしにくくなります。
小幅上昇 値上がり益にオプション料を足せるため、相性がよい場面があります。
横ばい 値上がり益がなくても、オプション料が利益になりやすい局面です。
小幅下落 オプション料が損失を少し和らげます。ただし、損失が消えるわけではありません。
大幅下落 普通に損失が出ます。カバードコールは下落を完全に防ぐ仕組みではありません。

563Aは「成長」と「分配」をどう両立するのか?

563Aは、単に高い分配金だけを目指すETFというより、NASDAQ100の成長をできるだけ残しながら、日次のカバードコールでオプション料を受け取ることを目指すETFです。ポイントは、NASDAQ100を持つ部分と、オプションを売る部分のバランスにあります。

1 NASDAQ100指数のロングポジションを持つ

まずはNASDAQ100の値動きに参加する土台を持ちます。ロングポジションとは、値上がりしたときに利益を得やすい持ち方のことです。

2 原則として日次でコールを売る

NASDAQ100指数のコールオプションを日々売却し、オプション料を得る仕組みです。ここが分配原資のひとつになります。

3 年率15%程度のプレミアム獲得を目標

対象指数は、年率15%程度のオプション・プレミアム獲得を目標とする設計です。ただし、分配金額や利回りを保証するものではありません。

4 カバー率は10%前後とされる

保有分を全部売るタイプではなく、一部だけをオプション料化する考え方です。従来型の全部売りカバードコールとは性格が違います。

つまり563Aは、NASDAQ100の成長をすべて捨てるのではなく、一部を現金収入に変えながら残りの成長も取りにいく設計です。

分配金は無料のお金ではありません

カバードコールの分配は、将来の上昇益の一部を売って、現在の現金収入に変えている面があります。そのためNASDAQ100が大きく上昇する局面では、QQQのような素直なNASDAQ100連動ETFに劣後しやすくなります。

一方で、カバー率が低い分、QYLDのような全部売り型よりはNASDAQ100の成長を取り込みやすい設計です。分配を受け取りながら、成長もある程度残したい人向けの中間型と考えると理解しやすくなります。

運用方針や指数ルールは変更される場合があります。詳細は運用会社・指数提供会社の公式資料(563A公式ページ)をご確認ください。

JEPQ・QQQI・QYLDと何が違うのか?

どれも「NASDAQ100系の成長」と「毎月の収入」を意識した商品ですが、分配の作り方はかなり違います。名前や利回りだけで比べるより、どのくらい成長を残す設計なのかを見ると整理しやすくなります。

商品 戦略タイプ 成長の残し方 分配の作り方 向いている人 注意点
563A 日次・低カバー率カバードコール型 NASDAQ100の成長を残しながら、一部をオプション料化 日本円で買える東証ETFとして、日次のコール売却によるプレミアム獲得を目指す 円建てで買いながら、成長と分配の両方を見たい人 分配金だけでなく、NAVとQQQとの差を確認
JEPQ アクティブ株式ポートフォリオ+オプション overlay JPモルガンの運用判断で、成長株への投資と値動きの抑制を組み合わせる 株式配当と、ELNなどを使ったオプション収益で毎月収入を目指す 毎月収入と低ボラティリティを重視したい人 ELNリスクや、米国ETFとしての税務に注意
QQQI NASDAQ100複製+データ駆動オプション戦略 NASDAQ100への投資を土台に、高い収入と上昇参加の両立を目指す データに基づくオプション戦略で毎月収入を狙う 高い毎月収入と上昇参加をどちらも見たい人 米国ETFで税効率を重視した設計。日本の投資家には国内税務確認が必要
QYLD / 2865 伝統的なNASDAQ100 buy-write型 NASDAQ100を持ちながら、1か月物ATMコールを売るため上昇益はかなり制限されやすい 高分配を狙いやすい一方、上昇益を分配原資に変える度合いが大きい 成長よりも分配収入を優先したい人 563Aより分配特化。成長は犠牲になりやすい
overlay 株式を持つ運用に、オプション戦略を上乗せするイメージです。
ELN 株価や指数に連動する債券の一種です。仕組みが複雑なので、商品資料でリスク確認が必要です。
ATMコール いまの価格に近い権利行使価格のコールです。売ると分配原資は作りやすい一方、上昇益は制限されやすくなります。

ざっくりした位置づけ:左ほど成長重視、右ほど分配重視です。実際のリターンは相場環境や税金、為替で変わります。

成長重視
分配は少なめ
分配重視
成長は抑えめ
QQQ 成長100 / 分配少ない
563A 成長も分配も狙う
JEPQ 分配寄り / 成長も狙う
QQQI 分配寄り / 上昇参加
QYLD / 2865 分配特化 / 成長は制限

最後に見るべきなのは、分配金だけではありません。分配金込みリターン、NAV、QQQとの差をセットで確認することが大切です。

比較対象の商品性は変更される場合があります。詳細は各運用会社の公式資料(563AJEPQQQQIQYLD2865)をご確認ください。

563Aを見るときのポイント

563Aのようなカバードコール型の商品を見るときは、分配金の多さだけで判断しないことが大切です。収入に見える部分の裏側で、基準価額や上昇相場へのついていき方も動いています。

分配金の原資

分配金が何から生まれているのかを見ます。オプション料、配当、元本の取り崩しなど、性質は同じではありません。

上昇相場への弱さ

大きく上がる相場では、普通のNASDAQ100連動商品より上昇についていきにくい場合があります。

基準価額の推移

分配金を受け取っていても、基準価額が下がり続けていないかをあわせて確認します。

NAV・QQQとの差・権利落ち後

分配金だけでなく、NAV、QQQとの差、権利落ち後の値動きも見ると、実態に近い判断がしやすくなります。

最後にまとめ

カバードコールは、資産を爆発的に増やすための戦略というより、資産の値動きの一部を現金収入に変える戦略です。横ばいや小幅な値動きでは魅力が出やすい一方、大きな上昇では取り逃がしが起きやすく、大きな下落では損失も出ます。

FIRE後のインカム戦略としては魅力がありますが、万能ではありません。分配金の気持ちよさと、基準価額の変化をセットで見るのが大事です。